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ペアローンとは?仕組み・メリット・デメリット、離婚時のリスクをわかりやすく解説

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ペアローンとは?仕組み・メリット・デメリット、離婚時のリスクをわかりやすく解説

ペアローンとは?仕組み・メリット・デメリット、離婚時のリスクをわかりやすく解説

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執筆者:

公開:

2025.09.04

更新:

2026.03.17

住宅価格の上昇が続くなか、単独ローンでは希望の物件に届かず、ペアローンを検討する共働き夫婦は増えています。一方で、借入額を増やせる反面、諸費用の増加や離婚・死亡時の返済負担、贈与税など見落としやすい注意点もあります。この記事では、ペアローンの仕組みや他の借入方法との違い、メリット・デメリット、判断時に確認したいポイントまでを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、ペアローンの基本構造や単独ローン・収入合算・連帯債務との違い、費用負担や控除、団信、税務上の注意点を体系的に理解できます。そのうえで、借入額を優先すべきか、将来のリスクに備えて別の借り方を選ぶべきかを整理し、自分たちの働き方や家計、ライフプランに合った住宅ローンを判断できるようになります。

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目次

ペアローンの仕組みとは?費用や他のローンとの違いを比較

ペアローンの特徴

ペアローンが使われる場面

ペアローンを組む際の主な条件

ペアローンの手数料・諸費用

ペアローンの利用実態・最新動向

なぜここまで広がったのか

ペアローンを選ぶ4つのメリットと賢い使いどころ

メリット① 借入可能額を最大化できる

単独ローンとペアローンで借入額はどう変わるか

メリット② 住宅ローン控除を2人分活用できる

メリット③ 金利タイプを組み合わせてリスクを分散できる

メリット④ 売却時の3,000万円特別控除が2人分適用される

ペアローンはやめたほうがいい?後悔につながる10のデメリット

デメリット① 手数料や印紙税が2人分に。諸費用は単独ローンの倍になることも

デメリット② 産休・育休で片働きに。世帯収入の減少に弱い

デメリット③ 離婚時に泥沼化しやすい|共有名義の売却・一本化が困難に

デメリット④ 片方が死亡しても残債は半分。残された家族に返済負担が残る

デメリット⑤ 借り換え・一本化の審査が厳しい。うかつな資金移動は贈与税の対象に

デメリット⑥ 借入可能額が増えるぶん、借りすぎのリスクも高まる

デメリット⑦ 「返済割合」と「持分割合」のズレが税務トラブルを招く

デメリット⑧ 金利タイプを分けると、金利上昇リスクが片方に偏る

デメリット⑨ 共有名義のため、住み替えや売却の意思決定が遅れがち

デメリット⑩ 管理の手間が2倍に。心理的なプレッシャーも大きい

あなたは大丈夫?ペアローンが向いている夫婦・向いていない夫婦の特徴

向いている人:共働きが続き、将来のライフプランが明確な夫婦

向いていない人:収入の変動リスクや離婚の可能性が少しでもある夫婦

ペアローンの税務・制度で押さえるべき3つのポイント

ポイント① 住宅ローン控除を2人分活用するための適用条件

ポイント② 贈与税を回避するための「返済負担」と「持分割合」の設定方法

ポイント③ 親子ペアローン・事実婚・同性パートナーでも組める?

ペアローンの金融機関選びとは?比較すべき3つのポイント

① 融資手数料の体系(定額型 vs 定率型)

② 夫婦連生団信の取り扱い

③ ペアローン向けの優遇金利・特典の有無

もしもの時の対処法|借り換え・離婚・死亡時にやるべきこと

ペアローンの借り換え・一本化は可能?審査の壁と現実的な選択肢

離婚が決まったらどうする?不動産の売却・名義変更の正しい手順

片方が亡くなった場合の手続きは?団信の請求と相続の注意点

収入合算・連帯債務・ペアローンの違いを整理

収入合算(連帯保証型)

連帯債務

ペアローンだけが持つ特徴

フラット35はペアローン不可

契約前に必ずやるべき!ペアローンの返済シミュレーションと夫婦のルール作り

無理のない返済プランの鍵。「収入合算後の返済負担率」の決め方

ペアローンならではの繰上返済戦略

収入減・金利上昇も想定。後悔しないためのシミュレーション方法

通常の団信では不十分?片方のローンが残るリスクと夫婦連生団信の役割

ペアローンの仕組みとは?費用や他のローンとの違いを比較

ペアローンは夫婦がそれぞれ契約を結ぶ仕組みです。そのため諸費用が割高になる点や、収入合算や連帯債務といった他のローンとの違いを正しく理解しておく必要があります。

ペアローンとは、一つの物件に対し、夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約する方法で、「二本立てローン」とも呼ばれます。契約や審査、返済は個別に行われ、お互いが相手の連帯保証人になるのが一般的です。

ペアローンの特徴

夫婦それぞれが主債務者となるため、二人とも単独でローンを組めるだけの審査基準(年収、勤続年数、健康状態など)を満たす必要があります。

項目内容
契約本数2本(夫・妻がそれぞれ独立して契約)
審査基準それぞれの年収・信用力をもとに個別に審査
連帯保証互いに相手のローンの連帯保証人になる
物件の所有権共有名義(それぞれの負担割合に応じた持分)
住宅ローン控除2人とも適用可能
団体信用生命保険(団信)2人とも加入可能
ペアローンの特徴

たとえば夫婦で5,000万円を借り入れる場合、夫が3,000万円・妻が2,000万円とそれぞれローンを契約します。このとき夫は妻のローンの連帯保証人(※債務者が返済できなくなった場合に代わりに返済する義務を負う人)になり、妻も夫の連帯保証人になるのが一般的です。物件の所有権は、それぞれの資金負担割合に応じた「共有名義」として登記されます。

ペアローンが使われる場面

ペアローンが選ばれる主な理由は、一人の収入だけでは希望する物件の購入資金に届かない場合です。

住宅ローンの借入可能額は、原則として申込者の年収をもとに算出されます。そのため、夫婦それぞれがローンを組むことで、世帯としての総借入額を大きく引き上げられます。近年はマンション価格の高騰が続いており、とくに首都圏では単独ローンだけでは希望エリアの物件に手が届きにくいケースが増えています。こうした背景から、共働き夫婦を中心にペアローンの利用が広がっています。

ペアローンを組む際の主な条件

金融機関によって細かな基準は異なりますが、一般的に以下の条件を満たす必要があります。

  • 2人とも住宅ローンの審査基準(年収・勤続年数・雇用形態など)を満たしていること
  • 2人とも団体信用生命保険(団信)に加入できる健康状態であること
  • 同一の金融機関でローンを組むこと

どちらか一方でも審査や団信の加入基準を満たせない場合は、ペアローンを利用できません。事前に金融機関への確認が必要です。

ペアローンの手数料・諸費用

ペアローンは契約が2本になるため、手数料や印紙税といった諸費用が2人分かかります。単独ローンに比べて初期費用が膨らみやすい点に注意が必要です。

ペアローンは「1物件に対しローン2本」という構造のため、契約時の諸費用が2人分かかる点に注意が必要です。具体的には、以下のような費用がそれぞれのローン契約ごとに発生します。

ペアローンの手数料・諸費用

  1. 融資手数料(金融機関への事務手数料)
  2. ローン保証料(保証会社を利用する場合の保証料)
  3. 印紙税(2本の契約書それぞれに収入印紙が必要)
  4. 団体信用生命保険料(団信特約料、または金利上乗せ分)
  5. 火災保険料(物件の火災保険は一つでも、ローン契約者ごとに加入すると負担増)
  6. 抵当権設定費用(司法書士報酬)

これらの諸費用を合計すると、物件価格の10%前後になることもあります。単独ローンなら5〜10%程度で済む費用が、二重計上によって想定以上になりがちです。金融機関によって費用体系は異なるため、事前に見積明細を必ず確認しましょう。

また、ペアローンでは返済口座も2つ必要になるのが一般的です。毎月の引き落としが2回になるなど、手間や管理コストも単独ローンに比べて増えることになります。

なお、住宅ローンに関する基本的な情報はこちらの記事を参考にしてみてください。

ペアローンの利用実態・最新動向

ペアローンは、共働き世帯の増加と住宅価格の高騰を背景に、ここ数年で急速に普及しています。三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査によると、ペアローンの利用率は2020年の18.8%から2024年には30.2%へと約1.6倍に増加しました。現在では住宅ローンを組む3組に1組がペアローンを選んでいる計算になります。(※2025年調査時点)

ペアローン利用率
2020年18.8%
2021年21.3%
2022年24.7%
2023年27.5%
2024年30.2%
ペアローン利用率の推移

出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)

ペアローンは、とくに若い世代ほど単独ローンとの借入額の差が大きい傾向があります。同調査では、20代の借入額中央値はペアローンが単独ローンより約4割多く、30代でも約3割の差がみられました。

年代単独ローン(中央値)ペアローン(中央値)
20代約3,000万円約4,200万円約+40%
30代約3,500万円約4,550万円約+30%
40代約3,200万円約3,800万円約+19%
年代別の借入額の差

出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)

年齢が上がるにつれて差が縮まるのは、40代以降になると単独でも十分な借入額を確保できるケースがふえるためと考えられます。

なぜここまで広がったのか

ペアローンが急増した背景には、おもに3つの要因があります。

1つ目は住宅価格の高騰です。国土交通省の調査によると、首都圏の新築マンション平均価格は2024年に初めて1億円を超えました。単独収入では購入が難しい物件が増え、夫婦で借入額を積み増せるペアローンの需要が高まっています。

2つ目は共働き世帯の定着です。総務省の調査では、共働き世帯数は専業主婦世帯の約2.5倍にのぼります。夫婦ともに安定した収入があるため、ペアローンの審査条件を満たしやすい世帯がふえています。

3つ目は住宅ローン控除の改正です。2022年の税制改正で控除率が1%から0.7%に引き下げられた一方、借入限度額の設定が物件の性能区分によって細分化されました。夫婦2人分の控除を活用することで節税効果を最大化しようという意識が高まり、ペアローン選択の一因になっています。

ペアローンを選ぶ4つのメリットと賢い使いどころ

ペアローンには、単独ローンや収入合算にはない独自のメリットがあります。とくに「借入可能額の拡大」「住宅ローン控除の二重活用」「金利リスクの分散」「売却時の特別控除」の4点は、共働き夫婦にとって大きな魅力です。

メリット① 借入可能額を最大化できる

ペアローン最大のメリットは、夫婦それぞれの収入をフルに審査に活用できるため、世帯としての総借入額を大きく引き上げられる点です。

「単独収入では希望の物件に届かない」と感じている夫婦にとって、選択肢が広がります。

単独ローンとペアローンで借入額はどう変わるか

住宅ローンの借入可能額は、原則として申込者の年収をもとに算出されます。そのため、夫婦それぞれがローンを組むことで、世帯としての総借入額を引き上げられます。

以下は、夫婦の年収別に単独ローンとペアローンの借入可能額を比較した目安です。返済期間35年・金利1.5%(変動)・返済負担率35%以内で試算しています。(※あくまで目安であり、実際の借入可能額は金融機関や審査状況によって異なります)

夫の年収妻の年収単独ローン(夫のみ)ペアローン(合計)差額
400万円400万円約2,800万円約5,600万円+約2,800万円
500万円400万円約3,500万円約6,300万円+約2,800万円
600万円500万円約4,200万円約7,700万円+約3,500万円
700万円600万円約4,900万円約9,100万円+約4,200万円
借入額の差

たとえば夫婦それぞれの年収が500万円・400万円の場合、単独では約3,500万円しか借りられないところが、ペアローンにすることで約6,300万円まで借入可能額が広がります。首都圏では新築マンションの平均価格が高騰しており、この差が物件選びに直結するケースは少なくありません。

メリット② 住宅ローン控除を2人分活用できる

住宅ローン控除とは、年末時点のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税・住民税から差し引ける制度です。(※2026年3月現在)ペアローンでは夫婦それぞれが控除を受けられるため、単独ローンより節税効果が高くなります。

たとえば夫婦がそれぞれ3,000万円ずつ借り入れた場合、控除額は以下のとおりです。

ローンの組み方控除対象残高年間控除額(目安)
単独ローン(6,000万円)上限3,000万円※最大21万円
ペアローン(各3,000万円)合計6,000万円最大42万円

※借入限度額は住宅の性能区分によって異なります。認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅などは上限が高くなります。(※2026年3月現在)

ただし、育休や退職などで一時的に所得税を納めない年は控除を受けられません。将来の働き方も踏まえて、実際にどれだけ節税効果があるかを事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。

メリット③ 金利タイプを組み合わせてリスクを分散できる

ペアローンでは夫婦それぞれが異なる金利タイプを選べます。たとえば「夫は固定金利で返済額を安定させ、妻は変動金利で低金利の恩恵を受ける」といった組み合わせが可能です。

単独ローンや収入合算では契約が1本のため、金利タイプは1種類に統一されます。ペアローンならではの戦略的なリスク分散といえます。

  1. 変動金利は一般的に固定金利より低い水準からスタートしますが、市場金利の上昇に伴って返済額が増えるリスクがあります。固定金利と組み合わせることで、家計全体のリスクを抑えながら低金利のメリットも享受できます。

長期金利の変化が住宅ローンに与える影響は以下Q&Aで説明しています。

メリット④ 売却時の3,000万円特別控除が2人分適用される

これは競合記事でも見落とされがちな重要なポイントです。マイホームを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」が適用され、売却益のうち3,000万円まで非課税になります。

ペアローンで共有名義にしている場合、この控除が夫婦それぞれに適用されるため、最大6,000万円まで譲渡所得が非課税になります。近年の住宅価格高騰を考えると、将来の売却時に大きな節税効果をもたらす可能性があります。

所有形態特別控除の上限
単独名義3,000万円
夫婦共有名義(ペアローン)最大6,000万円(各3,000万円×2人)

ただし、適用には「売却した年の前年・前々年にこの特例を使っていないこと」などの要件があります。(※2026年3月現在)

ペアローンはやめたほうがいい?後悔につながる10のデメリット

ペアローンは魅力的に見えますが、「やめたほうがいい」と言われることもあります。安易に選ぶと後悔につながりかねない、9つの具体的なデメリットとリスクを解説します。ペアローンを検討する際は、長期的な視点でご自身のライフプランへの影響を考えることが重要です。

デメリット① 手数料や印紙税が2人分に。諸費用は単独ローンの倍になることも

ペアローンは契約が2本になるため、手数料や印紙税といった諸費用が2人分かかります。契約後の管理の手間やコストも2倍になる点に注意が必要です。

ペアローンは契約手続きが2倍になるため、初期費用が割高になりがちです。融資手数料や印紙税など、ローンの本数に応じて発生する費用は2倍になります。諸費用は数十万円単位になるため、2本分となると軽視できません。

さらに、契約後の管理コストや手間も2重になります。毎月の返済や確定申告の手続きなどが夫婦2人分必要になり、こうした煩雑さが心理的な負担になることもあります。

デメリット② 産休・育休で片働きに。世帯収入の減少に弱い

ペアローンは夫婦二人の収入を前提とするため、どちらかの収入が途絶えると返済負担が一気に重くなります。産休や育休、病気や失業で一方の収入が減少すれば、もう一方だけで2本のローンを返済することになり、家計が破綻しかねません。単独ローンならリスクは一人分で済みますが、ペアローンでは二人分のリスクを背負う点が大きな違いです。

  1. こうした事態を避けるには、借入可能額いっぱいまで借りず、余裕ある返済計画を立てることが不可欠です。将来の収入減に備えて、一定の貯蓄を確保しておくことも重要です。

デメリット③ 離婚時に泥沼化しやすい|共有名義の売却・一本化が困難に

ペアローンで購入した住宅は共有名義となるのが一般的で、離婚時の財産分与は非常に複雑になります。

一方が住み続ける場合には、もう一方のローンを引き受けるために借り換えが必要です。しかし、一人分の収入で審査に通るのは難しく、現実的に成立しないケースが多いです。

住宅を売却する場合も、共有名義のため双方の同意がなければ進められません。さらに、売却額がローン残高を下回る「オーバーローン」状態では、住宅を手放しても負債だけが残るリスクがあります。

  1. このように、ペアローンは離婚時に整理が難しく、対立が長期化しやすい仕組みです。唯一の現実的な対策は、協力関係を保ちながら早期に売却して清算することですが、それ自体が大きなハードルとなります。

デメリット④ 片方が死亡しても残債は半分。残された家族に返済負担が残る

ペアローンの大きな弱点は、団体信用生命保険(団信)の保障範囲です。加入者が亡くなった場合、その人のローンは完済されますが、もう一方のローンはそのまま残ります。

例えば夫婦で3,000万円ずつ借りていれば、一方が亡くなっても清算されるのは3,000万円のみ。残された配偶者は、収入が減る中で残り3,000万円の返済を続けなければなりません。

このリスクに備えるには、どちらかが亡くなった場合でも残高が全額完済される「夫婦連生団信」や、民間の生命保険を活用することが重要です。ペアローンを選ぶ場合は、こうした補完策を組み合わせて家族の生活を守る必要があります。

デメリット⑤ 借り換え・一本化の審査が厳しい。うかつな資金移動は贈与税の対象に

ペアローンは契約が2本あるため、借り換えや一本化が容易ではありません。借り換えには夫婦それぞれが再度審査を受ける必要があり、収入や勤務状況が悪化していれば通過は難しくなります。特に一本化を目指す場合は、一人で倍近い借入を背負う形となり、審査のハードルはさらに高まります。

さらに注意すべきは、夫婦間での安易な返済の肩代わりです。例えば妻のローンを夫が年間110万円を超えて返済すれば、税務上は贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

このように、ペアローンは借り換えの自由度が低く、資金移動にも税務リスクが伴います。長期的に安定した返済計画を立て、借り換えに頼らずに対応できる資金設計を心がけることが重要です。

デメリット⑥ 借入可能額が増えるぶん、借りすぎのリスクも高まる

ペアローンは借入可能額を大きく引き上げられる一方、それが「借りすぎ」につながりやすいという落とし穴があります。

単独ローンでは自ずと借入額に上限がありますが、ペアローンでは2人分の収入をフル活用できるため、返済能力の限界近くまで借り入れてしまうケースが少なくありません。返済負担率が世帯手取り月収の20%を超えると、収入減や金利上昇が起きた際に家計が急速に苦しくなります。

「今いくら借りられるか」ではなく「将来にわたっていくら返し続けられるか」を軸に借入額を決めることが、ペアローンを安全に活用する最大のポイントです。詳しい試算方法はセクション10のシミュレーションを参照してください。

デメリット⑦ 「返済割合」と「持分割合」のズレが税務トラブルを招く

ペアローンでは、実際の返済負担割合と不動産の所有権割合(持分割合)を一致させるのが原則です。この二つが食い違うと、差額分が贈与と見なされ、贈与税の課税対象になる恐れがあります。

本来、持分割合は購入資金を誰がどれだけ負担したかに応じて決めるべきものです。しかし「夫婦だから半分ずつ」と形式的に設定すると、実態とのズレが生じやすくなります。例えば夫が7割、妻が3割を返済するにもかかわらず、登記を5対5にすると、夫から妻への贈与と解釈されるリスクがあるのです。

不動産を取得する際は、頭金やローン負担額に合わせて正確に持分割合を設定することが不可欠です。一度登記すると変更は困難なため、最初の段階で誤りのない設計を行うことが重要です。

デメリット⑧ 金利タイプを分けると、金利上昇リスクが片方に偏る

ペアローンでは夫婦それぞれが異なる金利タイプを選べますが、この自由度が裏目に出ることがあります。金利が上昇すると、変動金利を選んだ側だけ返済額が増え、家計全体の負担が偏る可能性があるためです。

例えば、夫が固定金利、妻が変動金利を選んだ場合、将来金利が上昇すれば妻の返済額だけが膨らみ、家計のバランスが崩れかねません。逆に金利が安定すれば、固定金利を選んだ夫が割高に感じ、不公平感につながることもあります。

金利タイプや返済期間を自由に組み合わせられる点はペアローンの魅力ですが、最終的には「世帯全体としてリスクをどう最適化するか」という視点が欠かせません。夫婦で将来の金利変動シナリオを共有し、納得感のある選択をすることが重要です。

デメリット⑨ 共有名義のため、住み替えや売却の意思決定が遅れがち

ペアローンで購入した住宅は共有名義となるため、将来の住み替えや売却といった「出口戦略」の自由度が低くなります。売却には夫婦双方の合意が不可欠で、意見が分かれると手続きが進まず、決断が遅れるリスクがあります。

さらに、ペアローンには2本の抵当権が設定されるため、市場で敬遠されやすく、売却に時間がかかることもあります。急な転勤やライフスタイルの変化があっても、共有名義の制約が柔軟な対応を妨げる点は大きなデメリットです。

そのため、将来住み替えや転勤の可能性がある場合には、ペアローンを選ぶ前に「長く住み続ける覚悟があるかどうか」を判断基準の一つにすることが重要です。

デメリット⑩ 管理の手間が2倍に。心理的なプレッシャーも大きい

ペアローンは、数値に表れない管理面・心理面での負担が大きくなります。毎月の返済管理や確定申告の手続きは二人分必要で、繰上返済の際も「どちらを優先するか」といった判断を常に迫られます。

また、「二人分のローンを抱えている」という事実自体が心理的な重圧となりやすく、収入減や離婚といった事態が重なれば、夫婦関係にまで影響を及ぼす可能性があります。実際に「負担が偏って後悔した」「離婚時の対応で苦労した」といった声も少なくありません。

こうした見えにくいコストまで含めて、夫婦で納得して管理できるかどうかを慎重に検討することが欠かせません。

あなたは大丈夫?ペアローンが向いている夫婦・向いていない夫婦の特徴

ペアローンは、すべての夫婦におすすめできるわけではありません。ご自身の世帯の状況がペアローンに向いているのか、それとも別の方法が安全なのか。具体的な特徴を参考に、考えてみましょう。

向いている人:共働きが続き、将来のライフプランが明確な夫婦

ペアローンは、夫婦ともに長期的な収入が安定しており、ライフプランについてもしっかり合意できている場合、有力な選択肢になります。具体的な条件を見ていきましょう。

1.夫婦とも長期的に安定した収入が見込める

定年までフルタイムで働く意思があり、雇用の安定性も高い場合、ペアローンの前提である「二人で完済する」計画が現実的になります。特に出産後も継続して働く予定があるなら、計画通り返済できるでしょう。

2.二人とも十分な年収と信用力がある

夫婦ともに正社員で勤続年数も長く、ローン審査に問題がないことが重要です。年収合計が高い「パワーカップル」などは、ペアローンを活用しやすいと言えます。

3.単独の年収では希望の物件に届かない

高額な物件を希望しており、どちらか一方の収入だけでは借入額が足りない場合、ペアローンで補う意義があります。「この物件を買うにはあと数千万円足りない」といったケースです。

4.住宅ローン控除のメリットを最大限に活かせる

夫婦ともに十分な課税所得があり、二人分の控除枠を使い切れる場合は、世帯全体で大きな節税効果が期待できます。

5.貯蓄や保険でリスク管理ができている

十分な貯蓄があり、万一の収入減にも備えられている場合や、連生団信や生命保険で死亡リスクをカバーできている場合は、ペアローンの弱点を補うことができます。

結論として、ペアローンは「夫婦2人で借りる力と返す力があり、かつそうする必要性がある」場合に向いています。

向いていない人:収入の変動リスクや離婚の可能性が少しでもある夫婦

反対に、将来の収入や夫婦関係に少しでも不確実な要素がある場合は、ペアローンは避けるのが賢明です。リスクがメリットを上回る可能性が高いでしょう。

1.どちらかが離職する可能性がある

出産を機に退職する予定がある、収入が不安定、といった場合は危険です。二人の収入が前提のローンなので、片方でも崩れると返済計画が破綻しかねません。

2.夫婦関係や将来設計に不安がある

離婚時の財産整理が極めて大変なため、関係性に不安がある場合はおすすめできません。また、将来どこに住むかといったビジョンが一致していない場合も、大きな責任を共有するのはリスクです。

3.どちらかの審査や健康状態に懸念がある

夫婦のどちらかがローン審査の基準をギリギリ満たせない場合や、団信の加入に必要な健康状態に不安がある場合は、無理にペアローンを選ぶべきではありません。

4.あえてペアローンを組む必要がない

実はどちらか一人でも希望額を借りられるのに、「控除が二人分使えるから」という理由だけでペアローンを選ぶのは本末転倒です。手間とリスクを増やすだけになりかねません。

5.家計管理やお金の話が苦手

ローンの管理が二重になるため、家計管理が苦手だと混乱しがちです。お金について日頃から話し合えない夫婦の場合、状況が変化した際にトラブルになる可能性があります。

要するに、ペアローンの弱点である「収入減・離婚・死亡」といったリスクに対処できない要素がある夫婦には向いていません。特にライフプランが固まっていない場合は慎重になるべきです。

ペアローンの税務・制度で押さえるべき3つのポイント

ペアローンを検討するうえで、税金や制度の知識は欠かせません。とくに「住宅ローン控除の適用条件」「贈与税リスクの回避方法」「夫婦以外の関係性での利用可否」の3点は、契約前に必ずおさえておきましょう。

ポイント① 住宅ローン控除を2人分活用するための適用条件

ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられますが、適用にはいくつかの条件を満たす必要があります。

条件内容
居住要件契約者本人が居住していること(購入後6か月以内に入居)
所得要件年間の合計所得金額が2,000万円以下であること
借入期間返済期間が10年以上のローンであること
床面積建物の床面積が50㎡以上であること※
省エネ要件新築住宅は省エネ基準への適合が必須

※合計所得金額が1,000万円以下の場合は40㎡以上でも適用可能な場合があります。

控除額は「年末ローン残高×0.7%」が基本ですが、借入限度額は住宅の性能区分によって異なります。認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅などは限度額が優遇されるため、物件選びの段階から性能区分を確認しておくと有利です。

注意すべき点が2つあります。1つ目は、育休や退職などで所得税を納めない年は控除を受けられない点です。もう一方の控除枠を融通することもできないため、将来の働き方の変化を踏まえた試算が必要です。

2つ目は、2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は省エネ基準への適合が控除の必須要件となっている点です。(※2026年3月現在)購入予定の物件が基準を満たしているか、事前に確認しておきましょう。

ポイント② 贈与税を回避するための「返済負担」と「持分割合」の設定方法

ペアローンで最も注意が必要な税務リスクが、贈与税の問題です。実際の資金負担割合と登記上の持分割合がずれると、その差額が贈与とみなされ課税される可能性があります。

持分割合は、頭金とローン負担額の合計をもとに設定するのが原則です。

たとえば5,000万円の物件を購入する場合、以下のように計算します。

項目
頭金の負担額500万円500万円
ローン借入額2,500万円1,500万円
合計負担額3,000万円2,000万円
持分割合3/5(60%)2/5(40%)
持分割合の正しい決め方

この例では持分を「夫60%・妻40%」と登記することで、贈与税のリスクを回避できます。「夫婦だから半分ずつ」と形式的に設定してしまうと、差額分が贈与とみなされる恐れがあります。

返済中に注意すべき贈与税リスク

返済が始まってからも贈与税のリスクは続きます。夫婦間であっても、相手のローンを年間110万円(基礎控除額)を超えて肩代わりすると、贈与税の課税対象になる可能性があります。

たとえば妻が育休で収入が減り、夫が妻のローン返済を代わりに行うケースがこれに該当します。こうした場合は、あらかじめ返済比率を低く設定しておくか、繰上返済で元本を減らしておくなどの対策が有効です。

資金計画が複雑になる場合は、税理士への相談を強くおすすめします。

ポイント③ 親子ペアローン・事実婚・同性パートナーでも組める?

ペアローンは法律婚の夫婦だけでなく、親子や事実婚・同性パートナーでも利用できる場合があります。ただし、それぞれに固有のリスクや注意点があります。

親子ペアローン

二世帯住宅の購入などで親子がペアローンを組むケースがあります。借入可能額の拡大や、それぞれの住宅ローン控除の活用といったメリットがある一方、以下の点に注意が必要です。

  • 親の年齢によっては返済期間が短くなり、月々の返済額が増える
  • 将来の相続で、住宅の共有持分が争いの原因になる可能性がある
  • 親が高齢の場合、団信の加入条件が厳しくなる

事実婚・同性パートナー

近年、事実婚や同性パートナーのカップルに対してもペアローンを提供する金融機関がふえています。(※2026年3月現在)ただし、法律婚でないカップルは税制・法律上の取り扱いが異なる点に注意が必要です。

とくに相続の場面では大きなリスクが生じます。パートナーが亡くなっても法定相続権がなく、遺言書がなければ住宅を相続できない可能性があります。また、相続税の配偶者控除も適用されないため、税負担が重くなります。

こうしたリスクへの対策として、遺言書の作成や公正証書(※公証人が法律に基づいて作成する公式な文書)による財産の取り決めが有効です。法律婚の夫婦より慎重な事前準備が求められます。

ペアローンの金融機関選びとは?比較すべき3つのポイント

ペアローンは金融機関ごとに条件が大きく異なるため、金利だけでなく、以下の3つの観点で比較することが重要です。

① 融資手数料の体系(定額型 vs 定率型)

融資手数料には「定額型」(借入額にかかわらず一律数万円程度)と「定率型」(借入額の2.2%程度)の2種類があります。ペアローンは2本分の手数料が発生するため、定率型だと手数料が大きく膨らみます。

たとえば5,000万円のペアローン(夫3,000万円・妻2,000万円)の場合、定率型(2.2%)なら手数料は合計110万円になりますが、定額型なら2本でも10〜20万円程度で済むケースがあります。ただし、定額型は適用金利がやや高めに設定されていることが多いため、総返済額で比較するのがポイントです。

② 夫婦連生団信の取り扱い

金融機関によって、夫婦連生団信を取り扱っているかどうかが異なります。取り扱いがある場合でも、上乗せ金利(通常0.1〜0.3%程度)や保障内容は金融機関ごとに差があります。ペアローンの最大の弱点である「片方のローンが残るリスク」をカバーできるかどうかは、金融機関選びの重要な判断材料です。

③ ペアローン向けの優遇金利・特典の有無

一部の金融機関では、ペアローン利用者向けに金利の優遇や手数料の割引を設けています。「ペアローン割」のような名称で、2本目の事務手数料が無料になるケースもあります。こうした特典は公式サイトだけでは見つけにくいこともあるため、窓口やオンライン相談で直接確認するのが確実です。

ペアローンは契約が2本になるぶん、金融機関選びのインパクトも2倍になります。複数の金融機関で事前審査を受け、総コストを比較したうえで判断しましょう。

もしもの時の対処法|借り換え・離婚・死亡時にやるべきこと

ペアローン利用中に、金利上昇や離婚、死亡といった事態に直面することもあります。もしもの時に慌てないよう、借り換えの現実的な選択肢や、離婚・死亡時の初動と手続きを解説します。

ペアローンの借り換え・一本化は可能?審査の壁と現実的な選択肢

ペアローンの借り換えや一本化は、単独ローンよりハードルが高くなります。なぜ難しいのか、そしてどのような選択肢が現実的なのかを具体的に見ていきましょう。

ペアローンを、そのまま他の銀行のペアローンに借り換える場合、夫婦二人ともが改めて審査に通る必要があります。収入が上がっていれば問題ありませんが、どちらかが転職していたり、年齢が上がっていたりすると、審査は厳しくなる傾向があります。

次に、片方のローンだけを借り換えることは、抵当権の問題から基本的に困難です。

ローンを一本化する借り換えは、さらに難易度が上がります。一人で倍近い額を借りることになるため、審査で求められる年収が大幅に上がるためです。

また、一本化は贈与税のリスクも伴います。相手の持分を買い取る形になるため、夫婦間であっても原則として課税対象となる可能性があります。

以上の理由から、ペアローンの借り換えは簡単ではありません。現実的な対策としては、無理に借り換えを目指すよりも、繰上返済で元本を減らしていく方が堅実と言えます。また、まずは現在借りている銀行に金利引き下げの交渉をしてみるのも一つの手です。

贈与税の課税ルールなどについては以下記事で詳しく解説しています。

離婚が決まったらどうする?不動産の売却・名義変更の正しい手順

ペアローンは、離婚時の財産整理が複雑になりやすいのが大きなデメリットです。住宅とローンをどうするのか、冷静に話し合い、正しい手順で進める必要があります。

まず最初にすべきは、金融機関への連絡です。離婚協議中であることや、住宅ローンをどうしたいかという意向を早めに伝えておくことが、スムーズな手続きの第一歩です。

次に、住宅とローンの今後の方針を決めます。選択肢は主に「家を売却してローンを完済する」か、「どちらか一方が住み続ける」の二つです。

①家を売却して、ローンを完済する場合

売却には夫婦双方の同意が不可欠です。売却額でローンを完済できるかを確認し、もし売却益が出れば財産分与で分け、ローンが残る場合はその負担割合も決めておく必要があります。

売却手続きでは、夫婦二人分のローンを同時に完済し、抵当権を抹消する流れになります。離婚して関係性が悪化していても、最後まで協力して手続きを進めなければなりません。

②どちらか一方が住み続ける場合

この場合、出て行く側の持分とローンを、住み続ける側が引き継ぐ必要があります。しかし、金融機関は基本的に債務者の変更を認めないため、実務上は「新規ローンで借り換えて一本化する」ことになります。

そのため、住み続ける側には、一人で残りのローン全額を借りられるだけの収入が求められます。この審査のハードルは非常に高く、現実的でないケースも少なくありません。手続きも煩雑なため、弁護士など専門家の助けを借りるのが賢明です。

片方が亡くなった場合の手続きは?団信の請求と相続の注意点

配偶者に万一のことがあった場合、まずは団体信用生命保険(団信)の手続きを速やかに行いましょう。その後のローン返済や、不動産の相続についても注意すべき点があります。

亡くなった方のローンは、団信の保険金で完済されます。まずは銀行に連絡し、保険金請求の手続きを進めましょう。

故人のローン完済後、残された配偶者のローンはそのまま残ります。返済が家計を圧迫する場合は、返済期間の延長などを銀行に相談してみましょう。

不動産の所有権については、亡くなった方の持分が相続の対象となります。法律上、配偶者と子で分け合うことになりますが、不動産を共有すると将来の売却などが難しくなるため、通常は遺産分割協議で配偶者がすべて相続する形を目指します。

もし、残ったローンの返済が困難な場合は、最終的に売却も検討せねばなりません。無理をして返済を滞らせる前に、早めに銀行に相談し、任意売却などの手続きを進めることが大切です。

結論として、離婚や死亡といった非常事態では、早めに金融機関へ相談することと、必要に応じて専門家のサポートを受けることが解決の鍵となります。

収入合算・連帯債務・ペアローンの違いを整理

夫婦で住宅ローンを組む方法はペアローンだけではありません。契約が一本で済む「収入合算」や「連帯債務」との仕組みや責任範囲の違いを知り、自分たちに合った形を選ぶことが大切です。

項目ペアローン収入合算(連帯債務型)収入合算(連帯保証型)
契約本数2本1本1本
債務者2人とも主債務者2人とも債務者主債務者のみ
住宅ローン控除2人とも適用可2人とも適用可主債務者のみ
団信2人とも加入可主債務者のみ※主債務者のみ
諸費用2本分かかる1本分で済む1本分で済む
フラット35利用不可利用可利用可
金利タイプ別々に設定可共通共通
収入合算・連帯債務・ペアローンの違い

収入合算(連帯保証型)

夫婦の収入を合算して審査を受ける方式で、多くの銀行で採用されています。契約は1本のみで、主債務者に対して配偶者が連帯保証人となります。手続きがシンプルな一方、住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信)の対象は主債務者だけに限定されます。

連帯債務

フラット35などで採用される方式で、夫婦二人が同一の契約上で債務者となります。両者に返済義務があり、それぞれ住宅ローン控除を利用できます。ただし、団信は主債務者のみ加入可とされることが多く、死亡時も相手に返済義務が残る場合がある点に注意が必要です。

ペアローンだけが持つ特徴

3つの方法のなかで、ペアローンにしかない特徴は以下の2点です。

1つ目は、金利タイプや返済期間を別々に設定できる点です。たとえば夫は固定金利・35年、妻は変動金利・20年というように、それぞれの状況に合わせた設計が可能です。

2つ目は、借入可能額を最大化しやすい点です。収入合算では金融機関ごとに合算できる収入の上限が設定されているケースが多い一方、ペアローンは2人の収入をそれぞれフルに審査に使えるため、世帯としての総借入額がより大きくなる傾向があります。

フラット35はペアローン不可

全期間固定金利型の住宅ローン「フラット35」は、ペアローン(2本立て契約)に対応していません。夫婦で利用する場合は、収入合算(連帯保証型または連帯債務型)での申し込みが基本となります。(※2026年3月現在)

フラット35の連帯債務型では、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられます。また、住宅金融支援機構が提供する「デュエット(夫婦連生団信)」を付加することで、万一の保障も2人分カバーできます。

固定金利の安心感を重視する夫婦にとっては、「フラット35の連帯債務型+デュエット」という組み合わせが有力な選択肢になります。

フラット35について詳しくは以下の記事で解説しています。

契約前に必ずやるべき!ペアローンの返済シミュレーションと夫婦のルール作り

ペアローンで後悔しないためには、契約前の計画がすべてです。ここでは、無理のない返済プランを立てるための「シミュレーション」と、夫婦で守るべき「運用ルール」の作り方を解説します。

無理のない返済プランの鍵。「収入合算後の返済負担率」の決め方

ペアローンの返済計画では、まず夫婦間の負担割合を決めることが重要です。現在の収入比率だけでなく、将来のライフプランも考慮して、公平で持続可能なルールを作りましょう。

まず基本となるのが、それぞれの収入割合に応じてローン負担額を決めることです。例えば収入比が7対3の夫婦なら、ローン負担も7対3に設定するのが公平で、不満が出にくいでしょう。

次に、将来の働き方の変化を織り込む視点も大切です。将来、一方が時短勤務や退職を考えているなら、その人の返済比率はあらかじめ低めに設定しておくと安全です。

また、頭金やボーナス払いの扱いも事前に話し合っておきましょう。特に頭金の出資比率とローン負担の比率が大きくずれないように注意が必要です。

最後に、これらの負担割合や支払い方法について、夫婦間できちんとルールとして明文化しておくと、将来のトラブルを予防できます。

ペアローンならではの繰上返済戦略

ペアローンでは2本のローンが並行するため、繰上返済の際に「どちらを先に返すか」という判断が必要になります。単独ローンにはない意思決定であり、戦略次第で総返済額やリスクが大きく変わります。

①金利が高いほうを優先する(利息削減重視)

総返済額を最小化するなら、金利が高いローンから優先的に返すのがセオリーです。例えば夫が固定1.8%、妻が変動0.5%なら、同じ100万円の繰上返済でも夫のローンに充てたほうが利息の削減効果が大きくなります。

②変動金利側を優先する(リスク軽減重視)

現時点で変動金利のほうが低くても、将来の金利上昇リスクを重視するなら、変動金利のローンの元本を先に減らしておく考え方もあります。元本が小さくなれば、金利が上昇した際の返済額の増加幅を抑えられます。

③残高が少ないほうを完済する(管理コスト削減)

残高が少ないほうを一括完済して1本に集約すれば、管理の手間が半分になります。確定申告の手続きも1人分で済むようになるため、心理的・事務的な負担軽減を優先したい場合に有効です。

どの戦略が最適かは、金利差や残高の状況、将来の金利見通し、家計の余裕度によって異なります。夫婦で「繰上返済はどちらを優先するか」のルールをあらかじめ決めておくと、まとまった資金ができた際にスムーズに判断できます。

収入減・金利上昇も想定。後悔しないためのシミュレーション方法

ペアローンは変数が多いため、契約前には様々な角度からシミュレーションを行うべきです。特に重要な5つのシミュレーションで、家計が破綻しないかを徹底的に検証しましょう。

1.基本的な返済計画シミュレーション

まずは、無理のない返済額になっているかを確認します。世帯手取り月収に対する返済額の割合は、20%程度に収めるのが安心です。

2.金利変動シミュレーション

変動金利で組む場合は、将来金利が1〜2%上昇しても返済を続けられるか、必ず試算しておきましょう。

3.収入減少シミュレーション

「妻が育休を取得」「夫が病気で休職」など、起こりうる収入減のシナリオを想定し、貯蓄で乗り切れるかを確認します。

4.繰上返済シミュレーション

「5年後に100万円繰り上げる」など、繰上返済の計画も立てておくと、将来の見通しがより明確になります。

5.最悪のケースを想定したシミュレーション

「失業」「大幅な金利上昇」といった悲観的なシナリオでも破綻しないかを確認し、もし厳しそうなら借入額そのものを見直しましょう。

これらのシミュレーション結果をもとに、夫婦で家計のルールを決めておくと、計画的に返済を進められます。

通常の団信では不十分?片方のローンが残るリスクと夫婦連生団信の役割

ペアローンの団信は自身のローンしか保障しないため、片方に万一のことがあると残された側に返済負担が残ります。このリスクを解消するのが「夫婦連生団信」です。

団体信用生命保険(団信)とは、ローン契約者が死亡・高度障害になった場合に残高が完済される保険です。ペアローンでは夫婦それぞれが自身のローンに対して団信に加入します。

そのため、もし夫が死亡した場合は夫のローンだけが完済され、妻のローン返済は続きます。この「片方のローンが残ってしまう」点が、ペアローンの大きな弱点です。

そこで登場したのが「夫婦連生団信」です。これは、夫婦のどちらか一方に万一のことがあった場合に、二人のローン残高すべてがゼロになる特別な団信です。大きな安心材料になる一方、保険料が割高で、取り扱う金融機関が限られる点には注意が必要です。

ペアローンを検討する際は、この夫婦連生団信の有無やコストも必ず確認しましょう。加入しない場合は、民間の生命保険で備えるなど、万一のリスク管理を慎重に設計することが大切です。

この記事のまとめ

この記事では、ペアローンの仕組みと他の住宅ローンとの違い、借入額を増やせるメリット、諸費用や団信、贈与税、離婚・死亡時に生じやすいリスクまでを整理しました。大切なのは、借りられる額だけでなく、将来の収入変化や夫婦のライフプランまで踏まえて選ぶことです。不安が残る場合は、金融機関や専門家に相談しながら、自分たちにとって無理のない借入方法を確認していきましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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関連する専門用語

ペアローン

ペアローンとは、夫婦やカップルなどが、それぞれ個別に住宅ローンを組んで、同じ物件を共同で購入するために利用するローンの仕組みです。2人がそれぞれローン契約を結ぶため、借入可能額が大きくなり、希望する物件を購入しやすくなるというメリットがあります。 また、それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があるため、節税面でも有利になることがあります。ただし、ローンの契約は個別に行われるため、どちらか一方が返済できなくなった場合には、もう一方に大きな負担がかかることがあります。ペアローンを利用する際は、将来のライフプランやリスクも含めて十分な話し合いが必要です。

収入合算

収入合算とは、住宅ローンを申し込む際に、主たる借入者の収入に加えて、配偶者や親などの収入も合算して審査してもらう方法です。これにより、単独では借入限度額に届かない場合でも、合算することでより多くの融資を受けられる可能性が高まります。 収入合算は、家計を共同で支える家族がいる場合に特に有効で、住宅の選択肢を広げる助けになります。ただし、収入を合算する相手が「連帯保証人」や「連帯債務者」となる必要があり、返済義務やリスクを共有することになるため、事前に十分な理解と話し合いが求められます。

連帯債務

連帯債務とは、複数の人が一つの借金や義務に対して、それぞれが全額の支払い責任を負うという契約の形です。たとえば、夫婦で住宅ローンを組む場合などに使われることが多く、どちらか一方が支払えなくなったとしても、もう一方に全額の返済義務が発生します。 このように、債権者にとっては誰か一人に請求すればよいため安心ですが、債務者側にとってはお互いの経済状況や信頼関係が重要になります。連帯債務は、単に借金を分け合う「分割債務」とは違い、それぞれが全体の責任を持つという点に注意が必要です。特に住宅ローンや不動産投資の資金調達で関係してくることが多いため、仕組みをよく理解しておくことが大切です。

連帯保証人

連帯保証人とは、主たる借主と同じ立場で返済義務を負う保証人のことです。通常の保証人と異なり、債権者は借主に請求する前に、いきなり連帯保証人へ全額請求することができます。また、連帯保証人は「自分の負担分だけ払えばよい」という考え方は通用せず、借主が支払えない場合は全額を肩代わりしなければなりません。 資産運用や家計管理の観点では、連帯保証人になることは大きなリスクを伴い、自分の信用情報や将来の資金計画にも直接影響するため、慎重な判断が必要です。

債務者

債務者とは、ある契約や法律上の義務に基づいて、特定の相手に対して金銭の支払いやサービスの提供などを行う責任を負っている人のことです。たとえば、借金をした人が返済すべき相手(貸した人)に対して支払い義務を負っている場合、この借りた人が債務者に該当します。債務者は、契約で定められた期日までにその義務を履行しなければならず、万が一支払いが滞れば、法的な請求や差し押さえなどを受ける可能性もあります。資産運用や相続、与信判断の場面では、債務者であるかどうかが財産の状況や信用力に大きく関係してくるため、正しく理解しておくべき重要な概念です。

主債務者

主債務者とは、借入契約を結び、返済を行う法的な責任を直接負っている人のことをいいます。たとえば住宅ローンを組む場合、実際に融資を受けて返済する本人が主債務者となります。 主債務者が返済を続けられなくなった場合には、連帯保証人や保証会社が代わりに返済を求められることがあります。資産運用を考えるうえでも、誰が主債務者なのかを明確に理解しておくことは、責任範囲やリスクを把握するうえで重要です。特に家族や夫婦でローンを利用する際には、自分が主債務者なのか、または保証人なのかを確認することが将来のトラブル防止につながります。

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